路線価とは?路線価の調べ方・計算方法、土地評価額の計算方法を解説

相続税・贈与税はもらった財産の価格に基づいて税額を計算しますが、土地を相続した場合は、どのように価格を計算するのかご存知でしょうか。

相続税・贈与税の税額計算に使う土地の価格は「路線価」をもとに計算します。

土地の路線価と面積がわかれば土地の価格を求めることができますが、路線価の調べ方はあまり知られていないためお困りの方も多いかと思います。

今回は、数年前から流行りのタワーマンション節税を事例に、相続税や贈与税の計算に必要な路線価の調べ方・計算方法、土地評価額を算出するための計算方法をを解説しています。

このページでわかること

  • 路線価について
  • タワーマンション節税と路線価
  • 路線価の調べ方・計算方法について
  • 土地評価額の計算方法について

タワーマンション節税とは?

タワーマンション節税が一時期ブームとなり、富裕層の間でタワーマンションの一室を購入することで相続税対策をする人が多くいました

2015年の相続税増税が起点となり、2018年に制度が変更になった今でも富裕層の間で人気の節税方法となります。

タワーマンション節税ですが、どのような仕組みなのでしょうか。

タワーマンションの節税は元来あった不動産の評価方法を逆手に取った合法的な節税手法です。

一般的にタワーマンションは1フロアでも階数が高くなればなるほど、眺望が良くなりますので不動産の売買価格は高くなります。

しかし、相続税の算定基準となる評価額は階数や日当たり、眺望などは考慮せず、例えば10階の部屋でも50階の部屋でも同じ間取り、広さであれば同じ評価が2018年までは採用されていました。

なぜなら、マンションの場合は1棟全体の評価額を各戸の所有者がそれぞれの床面積の割り合いに応じて均等割りするからです。

また、タワーマンションは低層マンションや戸建てと比べ、総戸数が多いため、一戸あたりの土地の評価額が抑えられることも大きなポイントです。

そのため、現金1億円をキャッシュで相続する場合、非課税枠を考慮せず税率30%相当で相続すると3,000万円の相続税が課税されますが、タワーマンションの場合、15%相当額の450万円ほどの相続税に圧縮され、2,500万円以上の節税につながります。

さらにはタワーマンションの一室を賃貸に出すことで更に圧縮効果を高めることもできました。

タワーマンションは同じ広さ、間取りであれば10階のお部屋と50階では、実際の取引価格が3,000万円~5,000万円ほど変わることもあり、資産性が高いタワーマンションの特に高層階を購入することが相続税対策の一番の恩恵を受けると言われてましたが、タワーマンションの高層階になると1億円以上の物件が多く、富裕層しか対象にならないという点が兼ねてから問題視されており、2018年から階数による差がなかった評価額にメスが入り、1フロア階数が上がるごとに0.26%ずつ評価額が上昇することに変更になりました。

タワーマンション節税と路線価

評価額の変更はタワーマンションの節税に影響を与えたのでしょうか。

実はこの影響はあまり大きくなく、従来の節税額が多少下がったものの、変わらずタワーマンションを用いた節税は今でも流行していることが現実です。

それは評価額の上昇幅が当初想定されていたパーセンテージよりも低く、見直しの議論が始まった当初は20階は1階の10%割り増し、30階は20%の割り増しと想定されていたものの、実際は、40階で10.9%、50階で13.8%の割り増しにとどまりました。

また、中間階を基準に調整が入るため、実際は5~7%ほどの評価額の上昇にしかつながらなかったからです。

そのため、タワーマンションを用いた節税は変わらず需要が高いものの、国税庁の視線が厳しくなり、居住目的であれば問題ありませんが、節税目的での購入と指摘を受けた場合は、圧縮効果がなくなることもあり、購入から相続発生までの期間が短かったり、購入価格と売却価格の差が大きい場合は、相続税評価額ではなく、実勢価格で相続税の修正申告や追徴課税されることもありますので注意が必要です。

では、このタワーマンションの節税方法の評価の一つとなる、路線価とはどのような指標なのでしょうか。

路線価とは?

路線価には「相続税路線価」と「固定資産税路線価」の2つがあります。

相続税路線価は実勢価格の70~80%に評価されることが多く、固定資産税路線価は60~70%に評価され、一般的に路線価と言うと、相続税路線価を指すことが多いです。

評価方法は相続税法に基づいて調査が行われ、国税庁が毎年1月1日時点の評価を7月1日に公表します。

公示価格などは、敷地そのものについて価格を算出するのに対して、路線価は一定の距離をもった路線(道路)に対して価格を決めるため、その路線に面する不動産は全て同じ評価となります。

ただし、一部都市部の大通りなどは道路の途中から評価額が変わる場合もあります。

路線価の地点数は30~40万地点もあり、公示地価や基準地価の10倍以上の土地が調査されます。

路線価の決まり方

それでは路線価はどのように決まっているのでしょうか?

路線価の決定には不動産鑑定士が大きく関わっています。

国から委託を受けた不動産鑑定士が1~6月の間に下記のデータを基に路線価を決定していきます。

  • 昨年の路線価
  • 直近の売買事例
  • 周辺の都市計画情報

路線価の調べ方

路線価は各地方の税務署に、その税務署管内の路線価が記載された「路線価図」が置いてありますので、閲覧を申請することで無料で確認することが可能です。

また、国税庁のホームページからも閲覧ができます。(http://www.rosenka.nta.go.jp/

路線価は主要道路の価格を調査したものになりますので、場所によっては路線価が定められていないこともあります。

その場合は、路線価と同様に、各税務署や国税庁のホームページから「財務基準評価書 路線価図・評価倍率表」を調査することで該当する土地の評価を確認することができます。

路線価を使った土地評価額の計算方法

  • 土地評価額=1平方メートルあたりの評価額×宅地面積

※1平方メートルあたりの評価額=路線価×奥行価格補正率

一般的に土地評価額は、上記のように計算されますが、道路に1面しか面していない土地の場合、奥行が極端に長かったり、逆に短かったりすることがあります。

そのような土地は活用しにくいため、評価額が下がります。

その調整を実施するのが奥行価格補正率です。

奥行価格補正率とは?

上述したように、道路に1面しか面していない土地の場合、奥行が極端に長かったり、逆に短かったりすることがあり、そのような土地は活用する用途が少なくなるため、評価額が下がってしまいます。

その調整を行うために奥行価格補正率が設けられています。

奥行価格補正率は以下の通りです。

奥行距離(m) 奥行価格補正率
4未満 0.90
4~6未満 0.92
6~8未満 0.95
8~10未満 0.97
10~24未満 1
24~28未満 0.99
28~32未満 0.98

例えば、1平方メートル当たりの評価額が50万円の土地に、奥行20メートルの奥行価格補正率で宅地面積が100平方メートルの場合の評価額がどうなるでしょうか。

  • 50万円(1平方メートル当たりの評価額)×1.0(奥行20メートルの奥行価格補正率)×100(宅地面積)=5,000万円

上記のような計算式となり、この土地の評価額は5,000万円となります。

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