サラリーマンの方でアパート経営に憧れている人は多いのではないでしょうか?
今までの定年は60歳とされてきましたが、日本の少子高齢化や年金の問題もあり、再雇用で65歳や70歳まで仕事に就くサラリーマンが増えてきました。
仮に大学卒業から60歳まで働くと仮定すると勤続年数は48年、70歳だと58年も働かないといけない計算になります。
サラリーマンは給与が安定しているという大きなメリットがあるものの、通勤時間や会議など拘束される時間が多く、精神的なストレスも負担になります。
しかし、サラリーマンを辞めると時間的な自由や精神的な自由は得られるものの経済的な安定は手放なさなければなりません。
早期リタイアして、サラリーマンを辞めてしまっても退職金が多額出るわけではないので、結局経済的な問題から抜け出すことはできず、またサラリーマンに戻るケースや結局はサラリーマンを辞めるわけにはいかず、定年まで働く人が多いというのが日本社会の現状です。
この自由とお金のジレンマから解放されて、誰でもコツさえ掴めば成功を手にすることができるのが「不動産投資を用いた不労所得」です。
サラリーマンをリタイアしても同じだけの不労所得が入ってくるのが確定していれば会社を辞める踏ん切りも付きやすいですよね。
不動産の中でも、特にアパート経営を用いた投資で経済的、精神的、時間的な自由を手にする方法を紹介していきます。
サラリーマンをリタイアする最低条件とは?
ある程度貯蓄があればサラリーマンを辞めることができるかもしれませんが、いつその貯蓄が尽きるのかという不安は付きまといます。
結婚して、家族ができたら、独身時代よりも2人分多く支出が発生しますので、貯蓄が減るスピードも増します。
サラリーマンを辞める上で一番重要なことは「キャッシュフロー(不労所得)が生活費以上になる」ことです。
しかし、ここで注意が必要です。
引退に必要なのは、家賃収入ではなくキャッシュフローであることです。
つまり給料でいうところの額面ではなく「手取り」が大切であることと同じです。
アパートを購入して、家賃収入が1,000万円あってもローンや管理費の支払いで20万円になってしまうのであればサラリーマンをリタイアすることはできません。
不動産の世界は、額面と手取りの乖離が大きいので注意が必要です。
では、キャッシュフローの定義はどのように考えれば良いのでしょうか。
正直なところ不動産会社や不動産関連のセミナーや書籍によってこのキャッシュフローの定義が大きく異なります。
ひどい人だと「キャッシュフロー=満室収入-ローン返済」で計算する人もいますが、これでは実際の手取り額との乖離さはかなり大きくなってしまいます。
現実的な数値となるキャッシュフローの計算式は「キャッシュフロー=満室収入×想定稼働率-ローン返済-管理費-固定資産税-所得税」です。
この計算式は不動産投資を行う上で必ず抑える必要があります。
*空室率は物件やエリア属性、オーナー、管理会社の能力によって変動しますが15%ほどに見ておくと良いでしょう。
*管理費は管理会社に運営を任せる場合の費用ですが、満室収入の15-20%ほどを見ておきましょう。
サラリーマンをリタイアの目安
それではどれだけの不動産投資を行えばサラリーマンを引退することができるのでしょうか?
ここでは三段階で引退時期を考えてみたいと思います。
-
- 最短:キャッシュフロー≧生活費支出×1
・最低限のキャッシュフローだけ確保し早くリタイアしたい人向き
・不動産収入以外にも他の収入の当てがあれば尚良い - 普通:キャッシュフロー≧生活費支出×2
・リタイアまで時間がかかる
・キャッシュフローに余裕があるので時間とともにキャッシュインが増える - キャッシュフロー≧生活費支出×3
・不動産投資の規模を増やす必要があるのでリタイアまでかなりの時間を要する
・キャッシュにかなり余裕があるため、他の収入は必要ない
- 最短:キャッシュフロー≧生活費支出×1
例えば、生活費が300万円のサラリーマン世帯であれば、300万円の不動産収入があれば次のステップでの生活の不安も少なくなります。
600万円あればなお安心で、900万円あれば十分に余裕を持った生活ができると考えられます。
マンションを一室ずつ購入してもいいのですが、アパートほどキャッシュフローを伸ばすことができませんので、一棟アパートを買い進めることがサラリーマンをリタイアするための近道になります。
いずれにしても、「キャッシュフロー≧生活費支出×1」であることが最低限の目安ですので、自分の生活費を一度洗い出して、いくら不動産収入があればサラリーマンをリタイアできるのか考えてみましょう。
不動産投資(アパート経営)で重要なローン
サラリーマンが不動産投資を始める上で、一番重要と言えるのが銀行からのローンです。
仮に生活費が300万円のサラリーマンであった場合、その物件の利回りが10%だとすると物件の価格は3,000万円になります。
ただ、3,000万円の現金を作るのはサラリーマンの給与だけでは現実的に難しいと思います。
そのため、少ないキャッシュを元手に銀行からできるだけ多くのローンを受けることが重要になります。
しかし、昨今のスルガ銀行から始まった不正不動産融資の問題から銀行のローン審査は厳しくなっていると言われています。
事実として、数年前までは年収の改ざんなどを不動産会社と銀行がグルになって行い、できるだけ多くのローンを組むことができるような不正が行われておりましたが、現在ではそのようなコンプライアンスに反する不正はできないようになっています。
一方で、地方銀行の収益性はどんどん下がり、今後多くの地方銀行の破綻がささやかれる中で地方銀行にとって最も大きな収益源が不動産融資であるということは変わりませんので、今後も不動産への貸し渋りが生じることは現実的に考えづらいと言えます。
銀行からのローンの詳細については後程、解説します。
ローンのポイントは返済比率
銀行からローンを受ける上で重要なポイントは「返済比率」です。
返済比率とは、満室家賃収入額に対するローン返済額の割合のことを言います。
仮に、満室家賃収入が1,000万円でローン返済額が500万円だとすると返済比率は500万円÷1,000万円で50%となります。
サラリーマンをリタイアする上で、「返済比率をなるべく低く抑える」ことが重要です。
逆に言えば、低い返済比率で購入できる物件が良い物件ということです。
返済比率を重視する理由は、以下の3点からです。
- 返済比率が高いと自分の手元に入る手取り収入が少なくなる
- 空室が出るとキャッシュフローが圧迫される
- 金利上昇のリスクがある
このような理由から返済比率の目安は50%以下と考えると良いとされています。
具体的なキャッシュフローのイメージは以下の通りです。
【満室時】
満室家賃収入 :1,000万円 ローン返済 :500万円 管理費 :200万円 固定資産税 :25万円 所得税 :25万円 キャッシュフロー:250万円 |
【空室発生時】
満室家賃収入 :1,000万円 ローン返済 :500万円 管理費 :200万円 固定資産税 :25万円 所得税 :25万円 空室損 :150万円 キャッシュフロー:100万円 |
このように万が一空室が発生した場合でも余裕をもったキャッシュフローを組んでおけばリスクヘッジになりますので、返済比率はできるだけ少なく、高くても50%以下に抑えることが重要です。
また、この返済比率はいくつか検討する物件がある場合に、どの物件を購入するか比較する上での判断基準にも使うことができます。
頭金の金額を物件ごとに変えてしまうと、返済比率がずれてしまうので、この場合には頭金を0円として試算する必要があります。
返済比率を不動産会社がシミュレーションすることは基本的にありませんので、自分自身で計算しましょう。
また、返済比率50%が上限ということを逆手に取って、売主との価格交渉にも理論的に利用することができ、有効活用できます。
現預金比率の考え方
では、不動産投資をする上で、どれくらい手元にキャッシュを置いておくと良いのでしょうか。
手元に現金を残しておく理由は、空率リスク、突発的な修繕費用の発生により現金が必要になるケースがありますので、そのための備えとして重要です。
どのような理由であっても、銀行はローンの返済を待ってはくれませんので、資金がショートして、破産してしまうリスクを回避するために一定額の現金を手元に残しておきましょう。
ローンの滞納は、今後不動産投資を進めていく上での大きな足枷となりますので、注意が必要です。
現預金比率の目安は以下の通りです。
支出 | 目安 | |||
最低限 普通 余裕 | ||||
生活費 | 生活費の | 6カ月分 | 12カ月分 | 24カ月分 |
ローン返済 | ローン返済額の | 6カ月分 | 12カ月分 | 24カ月分 |
計画外支出 | 満室家賃収入額の | 1カ月分 | 2カ月分 | 4カ月分 |
頭金と融資期間について
不動産ローンのポイントにもなる頭金は、その金額と融資期間が重要です。
頭金を多く入れると返済比率が下がり、金利支払いが減るというメリットがある一方、手元の現預金が減りますので、次の投資に振り分ける資金が減ってしまい、万が一、空室率が高まった場合や修繕費用が必要になった場合に資金がショートするリスクがあります。
そのため、サラリーマンをできるだけ早くリタイアしたいのであれば、可能な限り頭金を低く抑え、返済比率を50%以下に抑えることが重要です。
そして低く抑えた頭金を利用して、万が一の場合の現預金として貯えつつ、次の投資のために資金を回す方法が不労所得を最大化する早道です。
融資期間を長く取るメリットとしては、キャッシュフローが出やすくなることやローンの返済額が少なくなることが挙げられます。
一方で、残債の減少が遅いため、金利の支払いが増えてしまうことと残債以上の金額での売却を考えた場合、流動性が低くなってしまうデメリットがあります。
しかし、サラリーマンをリタイアする上では、返済期間をできるだけ長く取って、キャッシュフローをできるだけ多く出すことが重要です。
また、長い年数でローンを組み、繰り上げ返済をすることも可能ですので、あえて短い返済期間でローンを組むメリットはあまり大きくないと言えます。
耐用年数について
不動産には構造によってその不動産の寿命と考える「耐用年数」があります。
銀行はローンを貸し出す際に「耐用年数-築年数」の期間内で融資期間を設定します。
そのため、どんなに利回りが高く、状態が良い物件でも築年数の古い物件はローンが組みにくいケースが多くあります。
耐用年数は、木造物件であれば22年、鉄骨造が34年、鉄筋コンクリート造が47年となります。
しかし、静岡銀行では木造アパートであっても耐用年数を50年として考えて、そこから逆算して融資期間を設定することもありますので、築年数が古くても銀行に一度案件を持ち込んでも相談することをオススメします。
融資戦略について
サラリーマンをリタイアする上で重要なローンですが、銀行による融資判断の要素は以下のような項目が挙げられます。
担保評価
- 物件の積算評価(土地と建物の価格)は高いか
- 物件の収益性が高いか
属性
- 年収が高いか
- 会社の規模は大きいか、勤続年数は長いか
- 現預金はどれくらいあるか
事業性
- 収支の見通しは立つか
- 不動産賃貸事業の実績はあるか(黒字申告)
金融機関の選び方
また、日本には数多くの銀行がありますが、銀行によって審査のポイントは異なります。
サラ銀(サラリーマン向け銀行)
サラ銀と聞くと少し怪しい臭いを感じるかもしれませんが、サラ金ではないのでご安心ください。
サラ銀は「サラリーマン向け銀行」の略称で、オリックス銀行、スルガ銀行、静岡銀行がサラ銀の代表格です。
サラ銀は、購入者の属性やその物件の収益性を融資の判断要素として重要視する傾向にあります。
サラリーマンのリタイア前に、サラ銀からできるだけ多くの融資を受けておくことをお勧めします。
一般の住宅ローンは年収の7倍、住宅金融支援機構が提供するフラット35であっても年収の10倍ほどが上限とされておりますが、サラ銀のアパートローンの場合、年収の10~20倍ほどが融資金額の上限となっています。
メガバンク
りそな銀行や三井住友銀行は、不動産融資に積極的に取り組む銀行です。
購入者の属性と物件の積算評価を重視する傾向にあります。
内容によっては、りそな銀行の場合、自己資金の1割ほどからアパートローンを組むことができるため、候補の一つに挙げられます。
信金・地銀
現在は、不正融資問題から不動産融資にネガティブになってしまいましたが、西武信金は数年前まで多くの不動産融資を提供していました。
きらぼし銀行や千葉銀行は、現在も積極的にアパートローンを行っており、どちらかというと購入者の属性よりも事業性を重視しています。
そのため、サラリーマンをリタイアする前はサラ銀で、できるだけ多くの融資を組み、不動産を購入して、リタイア後に信金や地銀と上手に付き合っていくことが不動産融資を増やすポイントになります。
【まとめ】キャッシュフローを意識しながら、徐々に拡大していく
ここまで読み進められた方は、アパート経営によって、サラリーマンをリタイアするイメージが沸きましたでしょうか?
現在もサラリーマンの人であれば、サラ銀からできるだけ多くの融資を受けて、自分が生活できるだけの不動産投資を行うことが、まずは第一ステップです。
その後、サラリーマンをリタイアしたら、あとは地銀や信金から事業性融資(プロパーローン)を組み、資産を増やしていきましょう。
尚、一般的に個人で2~3億円分の不動産を購入する規模に達して、更に不動産投資を加速させたい場合、次回以降は税金面の問題から法人化して、法人にて購入することをオススメします。
法人の一期目ですと、ローンの審査が厳しくなることから、一番良い方法は予め法人を設立しておいて、個人で購入したアパートの管理をその法人で行うという方法です。
毎月の家賃の振り込み確認から修繕の対応など、8~10%ほどは管理料をとっても税務的に問題ありませんので、少しずつ法人の売上を伸ばしていきます。
黒字であることが大前提ですが、法人であれば、例えば家族を従業員として雇い、業務をお願いすれば家族に支払う給与も経費算入できますので、税金対策にもなります。
法人の融資は、基本的に3期分の黒字決算の申告書が必要になりますので、前もって準備をしておくと良いでしょう。