これから住宅ローンを組んでマイホームの購入を検討されている年収600万円の方は多いのではないでしょうか?
しかし、実際にマイホームを購入することは同時に住宅ローンを組むことになり数千万円の借金を背負うことになります。
本当に返済できるのか不安があるのは当然なことです。
そこで今回は年収600万円の方が住宅ローンを組んでマイホームを購入する場合、返済で無理のない範囲で借りられる金額について解説します。
また、年収600万円の経済状況、住宅ローンの限度額、返済シミュレーションも紹介します。
年収600万円の経済状況
サラリーマンの平均年収が441万円と言われている中で、年収600万円は十分に高給取りと言うことができます。
また、サラリーマンにとって年収600万円が人生の勝ち負けを決める一つのボーダーラインだという声もあります。
それでは年収600万円は実際にどのような生活を送れるのでしょうか?
年収600万円は全体の上位20%
国税庁が2019年に発表した「民間給与実態統計調査」によると、サラリーマンの平均年収は441万円です。
年収601万円以上の方は全体の19.9%という結果です。
つまり年収600万円の方は、この時点で上位20%に入る高額給与所得者となります。
その中でも年収601万円〜700万円の方は全体の6%で、約16人の1人の割合でしかいません。
2018年の平均年収が432万円なので全体としては伸びているとはいえ、600万円以上の年収を稼ぐことがいかに難しいかがわかります。
年齢 | 男性 | 女性 |
10代 | 0.5% | 0.0% |
20代前半 | 0.3% | 0.2% |
20代後半 | 2.0% | 1.2% |
30代前半 | 8.9% | 3.2% |
30代後半 | 18.7% | 5.3% |
40代前半 | 30.3% | 8.1% |
40代後半 | 40.3% | 11.0% |
50代前半 | 49.5% | 13.3% |
50代後半 | 46.3% | 12.6% |
60代前半 | 18.2% | 6.2% |
60代後半 | 11.2% | 5.5% |
70台以上 | 7.5% | 4.2% |
現在、年収600万円の方の平均年齢は45.7歳です。
40~50代の働き盛りの年代が中心です。
この年代は会社で何らかの役職に就いていることも多く、役職手当などで給与が優遇されている可能性が考えられます。
一般社員にとって年収600万円を目指すには、とてもハードルが高いのが現実です。
年収600万円の手取りは?
年収600万円の手取り年収は、配偶者控除・扶養控除などの有無、交通手当などの非課税所得にもよりますが、470万円〜500万円です。
毎月の手取りは約32万円で、1年間の手取りボーナスが約125万円です。
手取り年収 | 手取り月収 | 手取りボーナス |
470万円〜500万円 | 約32万円 | 約125万円 |
年収600万円の生活とは?
今回はマイホームを購入することを前提にしているので、既婚者で子供がいる設定で年収600万円の生活を紹介します。
下記は年収600万円の方の1ヶ月間の生活の一例です。
- 住居費(家賃または住宅ローン):10万円〜12万円
- 食費:6万円〜8万円
- 水道光熱費:1万5000円
- 通信費(インターネット料金、携帯料金など):2万5000円
- 日用品費:2万円
- 交際費:2万円
- 趣味・娯楽費:2万円
- 衣服費:2万円
- 保険料:2万円
- 自動車維持費:1万5000円
- 教育費:2万円
- 貯金:4万円
子供がいればマイホームの願望が高くなります。
住宅金融支援機構のフラット35利用者調査では、マイホームを購入した世帯の年収は600万円以上が50%超です。
その中でも600万円〜800万円の世帯が約20%です。
住宅ローンを組む場合、月々の返済額を年収の25%以内に収めることで無理のない返済に繋がります。
つまり年収600万円の方は、月々の返済を11万円〜13万円程度にすることがで重要です。
ただし、返済期間や住宅ローンの種類、金利、頭金の有無などによって返済額は変わるので、将来の収入なども考えながら、無理のない計画を立てましょう。
また、総務省の調査によると年収600万円の食費は、約7万4000円です。
年収600万円の場合、手取り月収が約32万円なので、収入に対して食費の割合は高いと言えます。
しかし、この年収の方の多くは、育ち盛りの子供がいることが考えられるので食費はどうしても大きくなります。
子供がいるとマイカーを持つ家庭も増えます。
年収600万円の方の場合、250万円前後のミニバンやエコカーなどを購入することが多いです。
しかし、年収600万円で子供がいる家庭では一括購入できるほど余裕はなくローンを組む方が多数です。
年収600万円の生活は、不自由を感じることは少ないですが、家族が多ければ多いほど日々の生活費が増え、子供がいれば教育費も必要です。
一般的に月収の20%は貯蓄すべきと言われていますが、手取り月収32万円の場合、毎月6万円ほどは貯金に回すことが理想になります。
しかし、現実は厳しく家族がいれば4万円前後を貯蓄できていれば上出来です。
このように上位20%に入る年収600万円でも余裕のある生活を100%送れているかというと現実はそうではありません。
住宅ローンを組んでマイホームの購入を悩まれる方が多いのもこのような背景があるからです。
年収600万円の住宅ローン限度額
それでは年収600万円の方が住宅ローンを組む場合、上限限度はどれくらいなのでしょうか?
無理のない返済をするためには、限度額いっぱいに借りることはお勧めできませんが、予備知識として知ることは重要です。
フラット35で住宅ローンを組む
一般的に金融機関は、年収の7倍を目安に住宅ローンを組みます。
年収600万円の場合、4200万円程度の住宅ローンを組むことが可能です。
住宅金融支援機構の「フラット35」を利用すれば、それ以上に融資を受けることができます。
フラット35とは、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する最長35年の全期間固定金利住宅ローンのことです。
資金の受取時に、返済終了までの借入金利と返済額が確定します。
借入後に市場金利が上昇しても返済額は増加しないことが大きなメリットである一方で、逆に借入後に市場金利が低下しても返済額は減少しません。
フラット35を推進している住宅金融支援機構は、もともと国の予算を使って融資を行ってきた住宅金融公庫の継承機関であり、独立行政法人として公的な存在です。
持ち家の取得を促進を目的とした住宅ローンであるため、民間金融機関よりも審査が甘いとされています。
フラット35は年収の10倍が限度額とされています。
年収600万円の方がフラット35を利用して住宅ローンを組めば6000万円まで融資を受けられます。
限度額いっぱいに借りるのが危険な理由
フラット35を利用すれば最大年収の10倍まで借りることができますが、実際に限度額まで融資を受けることは危険行為です。
その理由は、返済不能の状況を作らないようにするためです。
住宅ローンを組むことの最大の懸念は、返済不能に陥ることです。
もし返済が難しくなった場合、取るべき選択肢はいくつかありますが、購入したマイホームを手放すことは避けられません。
それでもなお、まだローンが残る可能性はあります。
このような状態は絶対に避けなければなりません。
それでは年収600万円の方が住宅ローンを組む場合、無理のない範囲で借りられる金額はいくらなのでしょうか?
住宅ローンは年収の5倍まで
住宅ローンは年収の5倍以内に収めることが無理のない返済に繋がります。
年収600万円の方は、3000万円までの借入であれば安全とされます。
それでは3000万円の住宅ローンを組んだ場合、年収600万円の方が返済できるのか確認していきましょう。
フラット35の借入額の基準
先ほどすでに説明しましたが、フラット35は年収の10倍まで借りることができます。
具体的に、どのような基準で決められているのでしょうか?
フラット35は、年収に対して借入額の上限基準が設けられています。
- 年収400万円未満:30%以下
- 年収400万円以上:35%以下
つまり年収600万円の場合、年間210万円までの返済額であれば住宅ローンを組むことができることになります。
手取り月収から考える返済可能額
年収600万円の手取り年収は470万円〜500万円です。
ボーナス分を差し引くと手取り月収は約32万円です。
手取り月収32万円を基準にフラット35の返済額上限の35%を月々返済することを前提にすると11万2000円になります。
32万円 × 35% = 11万2000円
この11万2000円を毎月の返済額として、住宅ローン返済シミュレーターを使って借入可能額を調べてみましょう。
借入可能額を返済額から計算
毎月返済額11万2000円、金利1.24%、返済期間35年と設定した場合、フラット35の借入可能額は3814万円です。
- 年収400万円未満:30%以下
- 年収400万円以上:35%以下
返済負担率も22.4%なので大幅に基準をクリアしています。
つまりフラット35で3814万円の住宅ローンを組むことは、返済可能な金額だと考えられます。
年収600万円で住宅ローンを組む注意点
住宅ローンを組む上で、本当に返済できるのか何度もシミュレーションすることが大事です。
今後、想定されるマイナス要因も含めて慎重に算出しましょう。
シミュレーションの結果、希望額に達しなかったとしても返済不能な状態に陥ることに考えたら、無理をしないことが正しい思考です。
また、民間金融機関や不動産会社が提供するシミュレーターは、不動産の購買を促進するために作られているため、住宅ローンを組みやすいように甘い結果を出してきます。
そのため返済能力を超える住宅ローンを組んでしまうことが多く見受けられます。
このような甘い判断は、返済不能に繋がり多額の借金を背負うことになります。
甘い考えこそ一番怖いことだと肝に銘じてください。
シミュレーションの80%が現実味のある借入金額
年収600万円の方がフラット35で住宅ローンを組んだ場合、3814万円という金額がシミュレーションの結果として算出されました。
しかし、人生は何が起きるかわかりません。
今後、収入が伸び悩んだり予想外の出費があったりなど毎月の返済が難しくなることも考えられます。
このようなネガティブ要因を考慮すると、シミュレーションの20%程度は下振れすることを想定しましょう。
3814万円であれば、その80%の3051万円がリアルな無理のない範囲で借りられる金額です。
まとめ
ここまで年収600万円の方が住宅ローンを組んでマイホームを購入する場合、返済で無理のない範囲で借りられる金額について、 年収600万円の経済状況、住宅ローンの限度額、返済シミュレーションも含めて解説しました。
その結果、年収600万円の場合、約3000万円が無理のない範囲で借りられる上限目安です。
人生はいろいろな出来事があります。
せっかく購入したマイホームを手放さないためにも、住宅ローン返済で困るようなことがないように、ぜひこの記事を役立てながら、無理のない計画を立てましょう。