都心のタワーマンション(タワマン)の購入を検討されている方は多いと思います。
一時期より注目のピークを過ぎたとはいえ憧れのランドマークであることに変わりありません。
そこで気になるのは、タワマンを購入するための年収は、いくら必要なのでしょうか?
どうしてもお金持ちが多いイメージがあるタワマンだけに重要なポイントです。
また、「タワマン貧乏」という言葉が出てきたように、計画性のない購入は身を滅ぼすことになります。
そこで今回は都心のタワマンを購入するために必要な年収について解説します。
新築及び中古タワマンの価格相場や住宅ローンも紹介するので計画的な購入プランのために役立ててください。
新築タワマンの価格相場
タワマンの新築価格は公表されていないので、新築マンション全体の価格相場を見ながら解説したいと思います。
日本人は「新築信仰」という言葉がある通り、新築物件に対するこだわりが強いです。
実際に日本の不動産市場で流通する80%以上が新築です。
日本人の新築信仰は世界の主要都市と比較しても突出した数値になっています。
例えば、イギリスでは90%が新築ではなく中古物件を購入しています。
他の国々でもアメリカで80%、フランスで60%の人が中古を選択しています。
文化の違いもありますが、少子高齢化の進行と人口減少社会に突入する日本で、リノベーションされた中古物件の流通が活発化されてないことは大きな懸念とされています。
年度 | 平均価格 | 前年比 |
2014年 | 5010万円 | +5.8% |
2015年 | 5256万円 | +4.9% |
2016年 | 5686万円 | +8.2% |
2017年 | 5884万円 | +3.5% |
2018年 | 5962万円 | +1.3% |
2019年 | 5980万円 | +0.3% |
しかし、新築マンション市場は活発で、首都圏の新築マンションの価格は2014年以降、上昇の一途を辿っています。
2014年当時は平均価格は5010万円だったのが、2019年には6000万円近くにまで上がっています。
このわずか6年間で約20%も新築マンションの価格が上昇したことになります。
タワマンの新築価格は公表されてないので、正確にはわかりませんが、タワマンは好立地で建築コストが高いことが多いので平均8000万円を超えるとも言われています。
新築タワマン購入のための住宅ローンとは?
それではタワマン購入のための住宅ローンには、どのようなものがあるのでしょうか?
仮に8000万円の新築タワマンを購入する場合、借入期間35年、変動金利0.7%の想定で毎月の返済額は約21万円です。
ローンの他にも、管理費や修繕積立金、光熱費などのランニングコストが発生することを考えると、住宅周りの費用として毎月約30万円ほどは支払うことになります。
日本のサラリーマンの平均年収が420万円と言われる中で、毎月30万円を継続して拠出することは、非常にハードルが高い内容であることがわかります。
また、一般的に住宅ローンは、年収の7倍を目安に組まれます。
つまり8000万円のタワマンを自己資金なしで購入する場合、最低でも年収1000万円以上ないと厳しいです。
銀行などと比べて審査が緩いとされている住宅金融支援機構の「フラット35」でも年収の10倍が限度額とされています。
フラット35を利用する場合でも年収800万円以上は必要です。
このような事実を考慮すると、新築タワマンを購入できる方は一握りであります。
サラリーマンにとって新築タワマンは、手の届かない価格まで上昇してしまっているのが実態です。
中古タワマンの価格相場
次に中古タワマンの価格相場について解説します。
下記は首都圏の主要タワーマンションの過去一年の成約価格です。
エリア毎に中古タワマンの価格について解説します。
このデータは不動産投資の専門家だからこそ作成することができた貴重なデータです。
東京都港区
マンション名 | 平均成約価格 | 平均成約坪単価 | 築年 |
赤坂タワーレジデンスTop of the Hill | 1億9000万円 | 722万円 | 2008年 |
ROPPONGI TOKYO | 1億6260万円 | 687万円 | 2011年 |
パークコート六本木ヒルトップレジデンス | 1億7500万円 | 746万円 | 2012年 |
アークヒルズ仙石山レジデンス | 1億5450万円 | 817万円 | 2012年 |
白金タワー | 7060万円 | 482万円 | 2005年 |
パークコート麻布十番ザ・タワー | 1億2580万円 | 620万円 | 2010年 |
シティタワー麻布十番 | 1億5850万円 | 611万円 | 2009年 |
高輪ザ・レジデンス | 1億245万円 | 456万円 | 2005年 |
グローバルフロントタワー | 7721万円 | 397万円 | 2016年 |
品川Vタワー | 9377万円 | 447万円 | 2003年 |
虎ノ門ヒルズ | 2億7500万円 | 1155万円 | 2014年 |
元麻布ヒルズ | 5億円 | 895万円 | 2002年 |
東京都千代田区
マンション名 | 平均成約価格 | 平均成約坪単価 | 築年 |
プラウドタワー千代田富士見 | 1億2520万円 | 564万円 | 2009年 |
パークコート千代田富士見ザ・タワー | 1億1550万円 | 685万円 | 2014年 |
平河町森タワーレジデンス | 1億9933万円 | 656万円 | 2009年 |
ワテラスタワーレジデンス | 9982万円 | 619万円 | 2013年 |
東京都中央区
マンション名 | 平均成約価格 | 平均成約坪単価 | 築年 |
The Tokyo Towers | 8262万円 | 311万円 | 2008年 |
センチュリーパークタワー | 7813万円 | 370万円 | 1999年 |
勝どきザ・タワー | 6201万円 | 345万円 | 2016年 |
キャピタルゲートプレイスザタワー | 9400万円 | 443万円 | 2015年 |
ザ・パークハウス晴海タワーズクロノレジデンス | 7470万円 | 346万円 | 2013年 |
東京都渋谷区
マンション名 | 平均成約価格 | 平均成約坪単価 | 築年 |
青山パークタワー | 2億2835万円 | 705万円 | 2003年 |
代官山アドレス | 1億1427万円 | 600万円 | 2000年 |
ジェントルエア神宮前 | 1億2000万円 | 548万円 | 2007年 |
東京都新宿区
マンション名 | 平均成約価格 | 平均成約坪単価 | 築年 |
富久クロスコンフォートタワー | 9328万円 | 451万円 | 2015年 |
ザ・パークハウス西新宿タワー60 | 8632万円 | 415万円 | 2017年 |
武蔵小杉(神奈川県川崎区)
マンション名 | 平均成約価格 | 平均成約坪単価 | 築年 |
パークシティ武蔵小杉ザ・ガーデンタワーズ | 8480万円 | 345万円 | 2017年 |
プラウドタワー武蔵小杉 | 6663万円 | 328万円 | 2014年 |
シティタワー武蔵小杉 | 8047万円 | 398万円 | 2015年 |
エクラスタワー武蔵小杉 | 6895万円 | 327万円 | 2013年 |
今回は都心三区と呼ばれる千代田区、中央区、港区と人気エリアの渋谷区、新宿区、武蔵小杉(神奈川県川崎区)の中古タワマンの平均成約価格を紹介しました。
中古物件でありなが、千代田区、港区、渋谷区は平均成約価格が1億円を超えるタワマンがほとんどです。
サラリーマンの年収だけでは中古タワマンであっても住むことは難しいことが現実です。
特にアークヒルズ仙石山レジデンス(港区)や元麻布ヒルズ(港区)、虎ノ門ヒルズ(港区)、平河町森タワーレジデンス(千代田区)は最もグレードが高いと評判の森ビルが分譲したこともあり平均成約価格が飛び抜けて高いです。
その中でも虎ノ門ヒルズは坪単価が最も高いマンションです。
坪単価が1000万円を超えるのは、虎ノ門ヒルズ以外では同じ森ビルが開発した六本木ヒルズです。
ちなみにですが、虎ノ門ヒルズは、低層フロアにオフィスや商業施設、高層フロアにホテル(アンダーズ東京)、中層フロアにマンションが入る構造になっています。
中央区と新宿区もタワマンが多いエリアです。
特に中央区は、ここ数年で最もタワマンが建設されているエリアです。
東京オリンピックの選手村として利用される総戸数5000戸を超えるHARUMI FLAGも中央区にあります。
最近は同じようなタワマンが乱立されていることが原因となり、千代田区、港区、渋谷区と比べると、坪単価は抑えめです。
しかし、それでも多くのタワマンで平均成約坪単価が400万円を超え、平均成約価格も7000万円〜1億円です。
都内ではないですが、武蔵小杉(神奈川県川崎市)も人気タワマンが多いエリアです。
2019年に台風19号の影響で一帯は大規模に冠水し、一部のタワマンでは浸水被害により地下の電気設備が故障するなどの被害が出たことで有名になりました。
現在は15棟のタワマンがこのエリアにあります。
今後も3棟が建設予定です。
平均成約価格、平均成約坪単価ともに都内タワマンと比べたら若干の値頃感があります。
しかし、それでも平均成約価格7,000万円〜8,500万円で売買されています。
武蔵小杉は成田エクスプレスの停車駅であるため成田空港まで直通である点や千代田区や中央区などの都心には少ないファミリー向けの商業施設やレストランが多いことから子育て世代のサラリーマンを中心に人気です。
都心のタワマン購入に必要な年収とは?
結論から先に申し上げると、首都圏の好立地に仕様・設備が整ったタワマンを購入することを考えると年収1500万円がボーダーラインです。
千代田区、港区、渋谷区に関しては、それ以上の年収が必要です。
今回ご紹介した中央区、新宿区、武蔵小杉などのエリアでも、ローンの返済や管理費、修繕積立金、光熱費などのランニングコストの支払いを含めて月々30万円ほどは、住宅周りの費用として支払うことを覚悟しなければなりません。
その上で、余裕のある生活を送るためには年収1500万円は確保したいです。
まとめ
ここまで都心のタワマンを購入するために必要な年収について、価格相場や住宅ローンなども含めて解説しました。
景気動向によってタワマンの売買価格は上下しますが、多くのタワマンは、立地や仕様・設備などの条件が良いので、大きく値崩れすることは考えにくいです。
そのようなことを踏まえると、中央区、新宿区、武蔵小杉など首都圏では比較的に値頃とされるエリアのタワマンでも毎月100万円ほどの所得は必要です。
筆者の見解としては、都心のタワマンを購入するためには年収1500万円がボーダーラインです。