ハワイでは不動産を購入した場合や売却した場合、また所有期間中はどのような税金が必要になるのでしょうか。
アメリカは州によって税制度も異なります。
ハワイは、日本と同じように税金が比較的高い地域になりますので、ハワイにて不動産を所有するのであれば、あらかじめ必要な税金は購入する前に確認することがお勧めです。
このページでは、ハワイの譲渡税と固定資産税についてどこよりわかりやすく解説します。
日本人がハワイ不動産を所有した場合の税務まわりはとても重要なポイントなので、ハワイ不動産にご興味ある方は必ずチェックすることをお勧めします。
このページでわかること
- 日本とハワイの不動産に関わる税金について
- ハワイの譲渡税と固定資産税について
- 日本の譲渡税について
- ハワイ不動産を売却する際の税務上の注意点について
日本とハワイの不動産に関わる税金について
ハワイの不動産の関わる税金について説明する前に、まず日本の不動産に関する税金について解説したいと思います。
日本の場合、購入時に不動産所得税、所有期間中は毎年固定資産税、売却時は譲渡税と3つの税金が基本的に所有者に課されます。
しかし、譲渡税に関しては、売却価格が購入価格を大幅に下回った場合は課税されないケースもあります。
それではハワイの不動産に関する税金はどのようなものがあるのでしょうか。
ハワイでは購入時の不動産所得税はありませんが、所有期間は毎年税務署から請求が来る固定資産税(Property Tax)と売却時には譲渡税(Conveyance Tax)の2つを不動産に関する税金として納税が必要になります。
譲渡税(Conveyance Tax)について
「不動産譲渡税(Conveyance Tax)」は不動産の売却時に課税される税金になり、ハワイ不動産の場合は、取引価格に応じて累進税率が適用されます。
日本人が不動産を売却する場合、ハワイ州に収める税率は下記表の通り、0.15%~1.25%となっております。
不動産売却価格 | 税率 |
$600,000未満 | 0.15% |
$600,000~$1,000,000未満 | 0.25% |
$1,000,000~$2,000,000未満 | 0.4% |
$2,000,000~$4,000,000未満 | 0.6% |
$4,000,000~$6,000,000未満 | 0.85% |
$6,000,000~$10,000,000未満 | 1.1% |
$10,000,000以上 | 1.25% |
$1,000,000(約1.1億円)の不動産を売却した場合は、$2,500の譲渡税が課税されることになります。
最高税率となる$10,000,000の不動産を売却した場合は$125,000、日本円で1,500万円弱の譲渡税が課税されますが、日本の譲渡税の税率と比較しますとそこまで多額納税が必要になるわけではありません。
では、日本の不動産を売却した場合の譲渡税はどうなるのでしょうか。譲渡所得を算出する計算式は下記の通りです。
譲渡所得=譲渡価格(売却価格)-取得費-譲渡費(売却費用)
取得費とは購入価格から減価償却費と購入費用を差し引いた金額を指します。
不動産の建物部分は、使っていくうちに物理的に劣化しますので、帳簿上でも税法に定められている法定耐用年数に則て、毎年一定額の価値が減額することになります。
土地はいくら使っても劣化しませんので、建物の残存価格と土地価格が簿価になります。
償却率が住居や事業用物件、躯体の構造によっても異なりますが、住居の場合の償却率は下記の通りです。
種別 | 償却率 |
木造 | 0.046 |
鉄筋コンクリート | 0.022 |
日本の譲渡税の計算方法について
では、譲渡税の計算例を一つ見ていきましょう。
今回は1億円で購入した投資用マンション1室を10年所有後に購入価格と同じ1億円で売却した場合、譲渡税はいくらになるか説明します。
購入価格 | 1億円 |
購入費用 | 500万円 |
所有期間 | 10年間 |
建物比率 | 60% |
土地比率 | 40% |
売却価格 | 1億円 |
売却費用 | 300万円 |
減価償却費の計算方法
1億円(購入価格)×60%(建物評価)×0.022%(償却率)×10年間(所有期間)=1,320万円
譲渡所得の計算方法
1億円(売却価格)-(1億円(購入価格)-1,320万円(減価償却費)+500万円(購入費用)+300万円(売却費用))=520万円
日本の税法の場合、所有期間が売却した年の1月1日に5年を経過したか否かによって税率が大きく異なります。
この5年の所有期間を境に短期譲渡税率と長期譲渡税率に分かれます。
所有期間 | 税率 |
短期譲渡税率 | 39.63%(所得税30.63% 住民税 9%) |
長期譲渡税率 | 20.315%(所得税15.315% 住民税 5%) |
今回は所有期間が10年となりますので、520万円に20.315%をかけた約105万円が譲渡税として納税義務が発生することになりますので、ハワイ不動産と比較しても4倍ほど高額な納税が必要になります。
この譲渡税は分離課税になりますので、例えば投資信託やFXなどの投資で損失を出してしまった場合でも損益通算をすることはできません。
不動産の売却に伴う損益であれば、合算可能ですので、例えば日本の不動産で購入価格が売却価格を大幅に上回る、売却損が同一年中に出た場合は、この譲渡益と損益通算することができます。
これは世界の不動産が対象になりますので、数多く不動産を保有し、多額譲渡税が発生してでも売却をしないといけない不動産がある場合は、どこか他の物件で損失を出し、譲渡税を圧縮することも一つのテクニックになります。
ハワイの不動産の売却の場合、第一納税地は不動産所有地のハワイになりますが、日本人の場合、ハワイ不動産を売却した場合でも最終的には日本にて確定申告を行い、日本税法のルールに則り、譲渡税を申告・納付する必要があります。
日本とアメリカは日米租税条約を締結しておりますので、二重課税にはなりませんが、ハワイでの納税額が少なければ日本にて追加納税が発生することになります。
たまに勘違いされる方もおりますので注意が必要ですが、日本にて申告をする場合は、売却物件を引渡しした決済をした日のドル円のレートが適用になりますので、売却したドルを銀行口座に置き、円安になったタイミングでドルを円に変えても税金額が減少するというわけではありません。
また、日本人によるハワイ不動産の売却時にはHARPTAとFIRPTAという源泉徴収税をハワイ州とアメリカ合衆国連邦税務署に納める必要があります。
この源泉徴収税は売買価格の22.25%になりますので、$1,000,000の物件を売却した場合は、実に$222,500、日本円で約2,500万円も源泉徴収されてしまうことになります。
これは永久的に手元に戻ってこないのかと言えば、そうではなく、アメリカ居住者であり、尚且つアメリカ人以外が行う不動産売買の場合、譲渡税が発生してもアメリカで確定申告をないなど、売却した人の譲渡税の取りこぼしをアメリカの税務署が防ぐための法律になります、
そのため、日本では売却した年の翌年の確定申告で税理士を通して還付申請をすれば譲渡税を差し引いた金額が手元に戻ってくることになります。
しかし、還付申請後すぐに戻ってくることはなく、具体的に還付までの日数が明示されているわけではありませんが、6~12カ月後を目安に還付されることになりますので、売却してから相当期間経過後に返還されることになります。
そのため、売却資金を他の投資などの資金に振り分けることを前提とするならば、売却手続き完了後、源泉徴収税を差し引いた金額しかすぐに利用することができないということを頭に入れておく必要があります。
尚、アメリカでは1031エクスチェンジという投資用物件の買い替え特例があり、アメリカ非居住者でも適用になりますが、日本の買い替え特例は海外不動産は対象にはなりません。
そのため日本ではただ単純にハワイの不動産を売却しただけになってしまい、税務メリットは何もありませんので、この制度も 注意が必要です。
固定資産税(Property Tax)について
ハワイの固定資産税の年度は毎年7月1日が期首、6月30日が期末になります。
納税時期は年2回あり第1期納付期限は8月20日、第2期納付期限は2月20日となり、8月にはその年の第1期支払時期になりますので1年分をまとめて支払うことができます。
2020年度分を一括で支払いたいということですと、2020年8月の納税時にその年の固定資産税を一括で支払うことができるということです。
また、固定資産税通知はホノルル税務署(City and County of Honolulu)から各不動産の所有者宛てに毎回納付期限の1か月程前に通知が届きます。
この固定資産税ですが、現在ハワイで建設されているモノレールの建設資金の貴重な財源であることから、今年の8月に支払う固定資産税から税率が大幅アップとなりました。日本人の投資家が適用となる主な税率は投資用とセカンドハウスに分かれますが、それぞれの税率は下記の通りになります。
投資用 | 1.39% |
セカンドハウス | 評価額が$1,000,000未満 0.45%
評価額が$1,000,000以上 1.05% |
一方、日本の不動産の固定資産税率は固定資産税評価額の1.4%になりますので、税率自体はハワイの税率よりも日本の方が低くなります。
しかし、日本の固定資産税の評価額は実際の取引価格の60%~70%ほどの価格が目安になりますが、ハワイの場合は、固定資産税評価額と実際の取引価格がほぼ同額、場合によっては高いこともありますので、1億円の投資用不動産をハワイで購入した場合は100万円以上の納付が必要なケースも多々あります。
また、ハワイのコンドミニアムはプールやフィットネスルームなどの共用施設が充実していることが多いことから、日本と比較しても管理費が高額になる場合が多く、2LDKの物件では毎月10~20万円ほどは必要になり、1年間に管理費だけで100~200万円ほど支払いが必要という物件もよくあります。
そのため、この固定資産税と管理費は日本と比較しても大きな負担になりますので、購入前に年間のランニングコストをシミュレーションしておく必要があります。
参考までにハワイで固定資産税を支払う方法もご紹介します。
支払い方法は主に4つあります。
固定資産税の支払い方法
- 小切手の郵送
- オンラインでのクレジットカード支払い
- 電話
- 窓口での直接支払い
日本に住んでいる所有者の場合は1.小切手の郵送もしくは2.オンラインでのクレジットカードによる支払いが一般的になります。
小切手を郵送する場合
郵送された固定資産税通知書には納税者情報や納税額等の記載があり、その書類と小切手を同封の上、ホノルル税務署(City and County of Honolulu)宛てに郵送をすることになります。
尚、郵送方法につきましては、郵便局のEMSやFEDEXなど後日追跡できる方法がお勧めとなります。
オンラインのクレジットカード支払いの場合
クレジットカード(Matercard / VISA / Discoverのみ)でのお支払いの場合は、ホノルル税務署(City and County of Honolulu)のホームページよりクレジットカードの登録を行うことで納税ができます。尚、別途2.35%の手数料が必要となります。