家を解体するにあたり、一番気になるポイントは、家の「解体費用」にいくらかかるのかということではないでしょうか?
例えば、古くなった家を取り壊して新居を建てることを検討している、または、更地にして土地を売却したいなど、家を解体することを考えている人は意外と多いです。
しかし、過去に家を解体した経験がなければ、解体費用や手順がわからないため不安になるものです。
このページでは、家を解体する際に発生する解体費用の料金相場や安くする方法、注意点についてどこよりもわかりやすく解説します。
このページでわかること
- 解体費用の料金相場について
- 構造別の解体費用について
- 解体費用を安くする方法について
- 建物滅失登記について
解体費用の料金相場について
家の解体費用は、主に3つの要因によって決定されています。
- 構造の種別
- アスベスト除去の有無
- 養生費について
それでは、一つずつ詳細を解説したいと思います。
構造の種別について
建物の構造体を専門用語では躯体と呼ぶのですが、この躯体の種類によって解体費用は大きく変わってきます。
躯体は、力を支える構造体に使う材料により、木造、ブロック造、鉄骨造(S造)、鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)等に区分されます。
今回は、わかりやすく解説するため、日本の多くの住宅で採用されている「木造住宅」、「鉄骨造住宅」、「鉄筋コンクリート造住宅」の3つの種類を中心に話を進めていきます。
都道府県によって多少の金額の違いはあるものの木造であれば3~4万円/坪、鉄骨造なら4~5万円/坪、鉄筋コンクリート造は5~6万円/坪が平均価格です。
基本的に固い素材でできている建物ほど解体費用が高くなる傾向があります。
都道府県 | 木造 | 鉄骨 | 鉄筋コンクリート |
---|---|---|---|
北海道 | 21,000円~28,000円 | 16,000円~21,000円 | 22,000円~27,000円 |
青森県 | 25,000円~38,000円 | 45,000円~21,000円 | 36,000円~48,000円 |
秋田県 | 23,000円~27,000円 | 25,000円~38,000円 | 36,000円~48,000円 |
岩手県 | 24,000円~40,000円 | 32,000円~48,000円 | 36,000円~52,000円 |
山形県 | 22,000円~33,000円 | 32,000円~50,000円 | 36,000円~53,000円 |
宮城県 | 25,000円~35,000円 | 25,000円~48,000円 | 33,000円~48,000円 |
福島県 | 28,000円~32,000円 | 28,000円~45,000円 | 30,000円~50,000円 |
茨城県 | 27,000円~40,000円 | 30,000円~48,000円 | 30,000円~52,000円 |
栃木県 | 27,000円~48,000円 | 30,000円~45,000円 | 30,000円~50,000円 |
群馬県 | 27,000円~32,000円 | 36,000円~45,000円 | 32,000円~49,000円 |
千葉県 | 27,000円~40,000円 | 35,000円~50,000円 | 38,000円~55,000円 |
埼玉県 | 27,000円~40,000円 | 36,000円~50,000円 | 38,000円~55,000円 |
東京都 | 32,000円~55,000円 | 40,000円~52,000円 | 45,000円~63,000円 |
神奈川県 | 32,000円~55,000円 | 40,000円~20,000円 | 45,000円~63,000円 |
山梨県 | 23,000円~38,000円 | 27,000円~35,000円 | 32,000円~50,000円 |
長野県 | 25,000円~48,000円 | 33,000円~45,000円 | 42,000円~60,000円 |
新潟県 | 25,000円~48,000円 | 33,000円~45,000円 | 42,000円~60,000円 |
富山県 | 25,000円~38,000円 | 32,000円~42,000円 | 42,000円~43,000円 |
石川県 | 25,000円~38,000円 | 28,000円~42,000円 | 38,000円~36,000円 |
福井県 | 28,000円~38,000円 | 28,000円~38,000円 | 35,000円~48,000円 |
静岡県 | 25,000円~38,000円 | 27,000円~54,000円 | 34,000円~55,000円 |
愛知県 | 27,000円~52,000円 | 27,000円~55,000円 | 38,000円~58,000円 |
岐阜県 | 28,000円~42,000円 | 25,000円~45,000円 | 32,000円~50,000円 |
三重県 | 22,000円~45,000円 | 22,000円~38,000円 | 30,000円~48,000円 |
滋賀県 | 28,000円~35,000円 | 30,000円~42,000円 | 31,000円~48,000円 |
京都府 | 26,000円~32,000円 | 28,000円~43,000円 | 32,000円~48,000円 |
大阪府 | 30,000円~40,000円 | 32,000円~45,000円 | 32,000円~55,000円 |
兵庫県 | 28,000円~38,000円 | 32,000円~46,000円 | 38,000円~60,000円 |
奈良県 | 28,000円~35,000円 | 32,000円~52,000円 | 35,000円~52,000円 |
和歌山県 | 28,000円~35,000円 | 32,000円~50,000円 | 35,000円~52,000円 |
鳥取県 | 30,000円~45,000円 | 38,000円~52,000円 | 42,000円~53,000円 |
島根県 | 29,000円~50,000円 | 32,000円~48,000円 | 40,000円~50,000円 |
岡山県 | 26,000円~48,000円 | 35,000円~50,000円 | 40,000円~52,000円 |
広島県 | 25,000円~50,000円 | 36,000円~52,000円 | 42,000円~55,000円 |
山口県 | 26,000円~48,000円 | 38,000円~48,000円 | 40,000円~52,000円 |
香川県 | 29,000円~38,000円 | 35,000円~45,000円 | 38,000円~48,000円 |
愛媛県 | 28,000円~38,000円 | 35,000円~45,000円 | 38,000円~48,000円 |
徳島県 | 26,000円~38,000円 | 38,000円~48,000円 | 38,000円~48,000円 |
高知県 | 28,000円~45,000円 | 35,000円~42,000円 | 40,000円~48,000円 |
福岡県 | 25,000円~52,000円 | 27,000円~55,000円 | 28,000円~45,000円 |
佐賀県 | 25,000円~48,000円 | 30,000円~50,000円 | 30,000円~42,000円 |
長崎県 | 25,000円~40,000円 | 30,000円~48,000円 | 32,000円~62,000円 |
大分県 | 27,000円~38,000円 | 28,000円~45,000円 | 30,000円~52,000円 |
熊本県 | 28,000円~33,000円 | 25,000円~38,000円 | 28,000円~48,000円 |
宮崎県 | 25,000円~38,000円 | 25,000円~42,000円 | 25,000円~48,000円 |
鹿児島県 | 28,000円~45,000円 | 28,000円~48,000円 | 28,000円~48,000円 |
沖縄県 | 20,000円~32,000円 | 20,000円~40,000円 | 20,000円~40,000円 |
また、平屋建てと2階建ての家を比較した際、平屋建ての方が解体費用が高くなることがあります。
解体費用は、家の坪数から算出するのですが、同じ坪数でも平屋建ての家の方が坪単価が高いことが多いです。
意外に感じますが、そのため2階建てより平屋建ての家の解体費用の方が高くなります。
さらに、平屋建ての家は、基礎や屋根の面積が大きいため木材やコンクリート、瓦などを撤去するため必要な作業が増えて、廃材処理のために追加で費用がかかる場合もあるので注意が必要です。
アスベスト除去の有無について
アスベスト(石綿)は、断熱性や耐火性、耐久性、吸音性などに優れた天然の鉱物繊維として、かつては多種多様な建築物に使われてきました
しかし、高濃度長期間暴露による健康被害リスクが明らかになり、アスベストには、塵肺、肺線維症、肺癌、悪性中皮腫などの人体への健康被害の危険性があります。
その危険性が全国に知られるにつれて、1975年にアスベストの使用が規制されるようになりましたが、アスベスト含有製品が実質的に全面禁止されたのは2006年のことです。
そのため2006年以前に建てられた住宅を含める建築物にはアスベストを含め建材が使用されている可能性があります。
アスベストの疑いがある家の場合、事前調査が必要になり、もしアスベストの除去が必要となれば、解体費用は高くなります。
アスベストは、空気中に浮遊することで健康被害を及ぼすため、もし建物内にアスベストが含まれる場合は、アスベストが外部に飛散しないような特別な方法が解体され、10万円/坪を超えるようなケースも出てきます。
また、大気汚染防止法により、アスベストの除去を伴う解体を行う場合は、実際に作業を行う14日前までに各都道府県に届出を提出する必要があるため忘れないように注意しましょう。
養生費について
家の解体を行う際には、必ず養生というものを行います。
この養生というものは、実際に解体作業を行う前に、解体を行わない部分に解体作業によって汚れや破損やなどがないようにマスキングテープやビニール、パネルで覆って防止することです。
家の解体の場合、近隣の家に迷惑がないように必ず養生費が発生します。
実際に家を解体する時には、騒音や振動、解体した破片やホコリなどが飛び散り、近隣に迷惑をかけることがあります。
養生費は、近隣の住宅の距離や解体方法によって金額が決まります。
近隣とのトラブルを避けるためにも養生費は必ず必要なものとなります。
養生にかける費用を削減することは、近隣の住民に対する配慮を欠く行為になるので、絶対にケチることがないように注意してください。
解体費用を安くする方法について
家財道具や粗大ゴミを事前に処分しておく
家の中の家財道具や粗大ゴミは、解体業者では処分できないため、別途、一般廃棄物処理業者に処分を依頼することが通常です。
家財道具や粗大ゴミの処理量が多くなるほど費用がかかります。
処分費用は、一般の家庭であれば10万円前後と言われていますが、モノが多い家庭だと20万円にも及ぶことがあるそうです。
この費用は、想像する以上に高額になりがちなので、費用を削減するために家財道具は事前に、リサイクルショップに売ることで処分費用を抑えることができます。
また、粗大ゴミに関しても、事前に自治体の行政サービスで処分することができるので、解体当日までに家の中を何もない状態にしましょう。
自治体の補助金・助成金を活用する
残念ながら、現在のところ、家の解体に関して、国が行なっている全国統一の補助金・助成金はありません。
都道府県や市区町村の自治体レベルでは、家の解体費用を支援する補助金・助成金を出してくれる場合があります。
しかし、自治体ごとに補助金・助成金が出る条件があり、例えば、老朽化した家屋や倒壊の恐れがある危険な家などが優先されるため、自分の家が条件に当てはまるかは確認が必要です。
また、補助金・助成金の申請には期限があるので、補助金・助成金を希望する場合は、早めに申請することがお勧めです。
自治体によって補助金・助成金の内容は様々です。
参考までにいくつかの市区町村の家の解体の解体に関する補助金・助成金についてご紹介します。
市区町村 | 補助金・助成金の内容 |
---|---|
群馬県高崎市 | 助成対象経費に5分の4をかけた金額(上限100万円) |
東京都足立区 | 解体工事費用の2分の1以内(木造上限50万円・非木造上限100万円) |
埼玉県行田市 | 解体工事費用の2分の1以内(上限50万円) |
神奈川県愛川町 | 対象経費の2分の1以内(上限30万円) |
兵庫県姫路市 | 解体撤去費用の5分の1以内(上限30万円) |
和歌山県和歌山市 | 空き家の除去費用の3分の2以内(上限60万円) |
大分県大分市 | 補助対象経費の5分の4以内または市の定める額のいずれか小さい方(上限160万円) |
建物滅失登記を自分に行う
建物滅失登記とは、法務局の登記簿から建物がなくなったことを登記することです。
建物の解体後1ケ月以内にこれを行わないと、以下のようなデメリットが生じる場合があります。
- 土地の売却ができない
- 解体した建物に固定資産税がかかり続ける
- 建築許可が下りないため建て替えができない
- 建物の所有者が亡くなった場合、建物滅失登記の手続きがより困難になる
- 建物滅失登記は申請義務があるため、怠ると10万円以下の過料に処される場合がある
多くの人は、家の解体後に、その土地を活用したいと考えているはずです。
しかし、建物滅失登記を行わないと、土地を売りたくとも売れない、新たに自宅やアパートを建てたくても建てることができません。
さらには、すでに家を解体して建物自体はないのに、存在しない建物に対して、固定資産税を払わないといけない可能性があります。
また、建物滅失登記は、申請義務があるもので、申請を怠ると罰金もあります。
このように建物滅失登記の申請を怠っていいことは一つありません。
家の解体が終了したら、絶対に建物滅失登記を行いましょう。
建物滅失登記の申請自体はとても簡単なものであるのでご自身で行うことをお勧めしています。
土地家屋調査士に代行してもらうと4万円前後の代行費用がかかります。
建物滅失登記の方法
- 期日:建物を解体してから1ヶ月以内
- 手続きを行う場所:建物の所在地を管轄する法務局(郵送:可)
必要書類
- 建物滅失登記申請書を法務局のサイトよりダウンロードする
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/minji79.html - 案内図(取壊した建物の位置を記した地図)
- 取毀(とりこわし)証明書(解体業者に依頼すれば貰える)
- 解体業者の登記事項証明書(解体業者に依頼すれば貰える)
- 解体業者の印鑑証明証(解体業者に依頼すれば貰える)
もし、登記されている家の所有者がすでに亡くなっている場合、さらに以下の書類が必要になります。
- 亡くなった人の戸籍謄本または除籍謄本
- 相続人の戸籍謄本(亡くなった人の戸籍の中に相続人の記載が無い場合)
- 亡くなった人の住民票の除票、または戸籍の附表
これらの書類をまとめて法務局に持って行くだけで簡単に建物滅失登記ができます。
注意点とては、申請の手続き自体には、費用はかかりませんが、事前に建物の登記情報を調べる必要があるため、登記簿謄本の取得費用が1通1,000円ほどかかります。
【まとめ】家の解体は計画的に進めることが大事
ここまで家の解体費用の料金相場について解説してきました。
建物の構造、アスベストの有無、養生費などの条件によって解体費用は大きく変わってきます。
しかし、自治体の補助金・助成金などは上手に使うことができれば、解体費用を抑えることができるので要チェックです。