米国株式の基本とその運用上の大事なポイント

今回は、米国株式というメインテーマを中心にして、それを取り巻く大事なポイントを随時ご紹介していきます。

米国の株式については、これまで説明してきた通りですが、いまだに日本では、これについて「少しとっつきづらい」というイメージを抱いている人が、たくさんいるように思われます。実際には、そこまで日本の株式とは違っていないので、その辺の「誤解を解く」ことを目的としながら、できるだけ初心者の方にもわかりやすく説明していければと思っています。それでは、まずは基本の部分からです。

米国株であっても日本の株式であっても、株式であると言う事実に違いはありません。

会社が資金調達をするために株式を発行し、その企業の成長に可能性を見出した投資家が購入し、取引します。米国株式の素晴らしい点として、「配当に力が入れられている」例が多い、ということが挙げられます。

もちろん、必ずしも米国株のすべての配当が魅力的であるか、といえばそうではありませんが、保有しているだけで毎月嬉しい利益が手に入る株式は少なくありません。そもそも米国株式は世界的にも優れた経済力を誇る米国の企業を対象とした(それを擁する)ものですので、そのような気前の良い性質が備わっていても、何も不思議な事はありません。

また米国株式には面白い特徴として「為替」の概念が絡んできます。日本から米国株式を取引しようとすると、おのずと私たち日本人は為替の影響受けることになります。つまり、手元に日本円があるとして、そのまま日本円で米国株式を購入することができません。

感覚的には「日本円を支払ってそのまま米国株を買っているような気分」にはなれるのですが、証券会社を介して、株式の売買を行う際には、私たちの知らないところで(というよりも、そこまで意識しないところで)日本円とアメリカドルの両替が行われています。

ご存知と思われますが、日本円とアメリカドルの価値は一定ではありません。日本円に対してアメリカドルの価値が上がることも、アメリカドルに対して日本円の価値が上がることもあります。その日、その時次第です。ですので、もし仮に、日本円で考えたときに株式の価値が上昇していたとしても、為替取引を挟むことで、知らないうちに損をしていることがあり得るのです。これをリスクと捉える事はできますが、私は個人的に、これをチャンスと捉えることをお勧めしています。

というのも、損失が出る可能性があるという事は、利益が出る可能性もあるということです。どういうことかと言うと、「純正の株式の取引」に加えて、為替をうまく利用したプラスの利益を上げられる可能性があるのです。

ここまでを簡単にまとめると、うまく配当の高い株式を選ぶことで、「保有するだけ」で利益を生み出していくことが可能でありながら、さらに価値の上昇や、為替の影響すら加味して、プラスの利益を得ることが不可能ではない、ということです。

もちろんこれは可能性の話であって、米国株式を取引する人皆が、このように理想的な結果を手に入れられるとする保証ではありませんが、それは取引では当たり前の事です。あくまでも利益を「何枚重ねにも」できるという意味で、米国株式は非常に注目に値します。

続いては、取引時間についても簡単に言及しておきましょう。海外の株式となると、日本からの「取引がしづらい」イメージを抱いている人はたくさんいるのではないでしょうか。しかし、実際にはそこまで難しいことはありません。そもそも日本の証券会社を介して取引することになるので、全てが日本語で完結しますし、日本のお客さん向けに構築されたシステムを利用しながら、ストレスなく取引を進めていくことができます。

これについてもう少しわかりやすくご紹介します。一番の「正道」で考えると、米国株式を取引するには、米国市場の取引時間に、その場にいる必要があります。ちなみに、ここで言う「その場」とは、アメリカの証券取引所ですが、実際には取引は「オンライン」で行われます。先にお伝えしたとおり、それぞれの証券取引所には、独自の取引時間があります。

ご存じのとおり、日本とアメリカの間には、大きな時差がありますね。ですので、順当に考えると、ニューヨークの取引時間に日本から参加しようとすると、真夜中になってしまいます。これでは、まともに睡眠時間が確保できない…と不安をお持ちの方、ご安心を。

実は、日本の証券会社が、広く、米国株式取引用の、日本の投資家にあった時間での取引システムを用意してくれています。ですので、それを賢く選ぶ限りは、徹夜で取引につきっきりになる必要はありません。

さて、これから米国株式の取引に挑戦してみたい、となったら、何から考えるべきでしょうか?先にお伝えしたとおり、まずは、為替によるリスク(そしてメリット)を十分に理解することから始めましょう。第一歩は、そのような「変数」が介在していると知ることです。

次に、取引時間についてです。ライフスタイルと取引をうまく合致させることが重要です。取引により睡眠が阻害されたり、健康が害されたりすべきではありません。ですので(おそらく他の仕事をお持ちでしょうから)本業とのバランスを考えましょう。

これに関連して、どれだけ株式を保有するのか、ポジションの取り方はどうなのか、についても考えておくことをおすすめします。というのも、「所有しておいて、普段はその存在を忘れてしまう」という取引もできますし、「緊張感を持って、頻繁に取引をする」こともできます。どちらを選ぶのかは、個人的な好みや性格次第です。

初心者の方であれば、心労を回避するために、購入後は、あまり考えないことをおすすめします。すると、必然的に、長く株式を保有することになります。これのメリットは、時間をかけることで、時間の力で価値を伸ばしていくことができる点です。複雑な分析や、こまめな売買は必要ありません。むしろ、この方式を選んだなら、株式に触れないことが肝になります。

このような戦略を選んだのであれば、長期的な(往々にして安定した)株式価値の成長を目指すために、分散投資をすることをおすすめします。つまり、特定の会社の株式のみを大量に購入するのではなく、株式にバラツキを持たせるということです。

個人的には、インデックスを好んで利用しています。これは簡単に言えば、たくさんの会社の抱き合わせです。複数の会社を組み合わせたセットになっているので、どれか一つの会社の業績が悪化しても、その影響を100%そのまま受けることがありません。

賢くインデックスを選べば、一つの会社に運命を委ねることを回避できるのです。個人的には、ナスダックやダウなどの有名なものをおすすめしています。前者の過去30年の「成績」を見てみると、なんと約22倍もの成長を遂げています。

一つの企業の浮き沈みとは違うので、いきなりどんと伸びることは期待できません。しかしながら、長期的に保有することで資産を増やすという意味では非常に優秀な選択肢です。

特に老後の資金繰りが心配であるなら、このような長期的な投資戦略は必ず実施しておくことをおすすめします。これを機に、数十年後にどれくらいのお金が必要になるのか考えてみるのもいいかもしれません。ここまで先を考えて、その上で現在にまで遡り計画を立てている人は、なかなかいないものです。これができると、資金面での違いが出ることは、間違いありません。お金と賢く付き合うかどうかの分かれ目です。

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