首都圏のマンションが高い理由とは?価格動向や価格上昇の要因、狙い目の物件に至るまでわかりやすく解説!

新型コロナウィルスの影響で2020年3月からマンションの内覧者が急減し、現地見物会などのイベントの中止も相次いでいます。

消費者からしてみれば、こうして客足が遠のけば物件価格は下がるのでは、という期待が高まります。

それほどまでに現在の分譲マンション市場は加熱している状況です。

そこで今回は、なぜマンションはこんなに高いのか、価格動向や価格上昇の要因、狙い目の物件に至るまでわかりやすく解説します。

分譲マンションの価格動向

首都圏における新築マンションは価格上昇の一途を辿っています。

2014年当時は平均価格は5010万円だったのが、2018年には6000万円近くにまで上がっています。

年度 平均価格 前年比
2014年 5010万円 +5.8%
2015年 5256万円 +4.9%
2016年 5686万円 +8.2%
2017年 5884万円 +3.5%
2018年 5962万円 +1.3%
2019年 5980万円 +0.3%

共働き世代が増え、住環境より利便性を重視する風潮が強まり、デベロッパーが供給エリアを厳選するようになったことで供給戸数は一時期より減少傾向にあります。

しかし、2019年に首都圏で供給されたマンションのうち、駅徒歩5分圏内の割合は44%にも及びました。

2000年は29%、2010年は38%と、「駅近」志向は年々強まっていることがわかります。

駅まで徒歩圏内という好立地は用地代の高い好立地にあり、当然のこと物件価格が高くなる要因になります。

価格上昇の要因とは?

分譲マンションの価格上昇にはいくつかの要因があるとされています。

  1. 取得競争による用地代の高騰
  2. 大型再開発などが重なったことによる建築費の高騰
  3. 新興デベロッパーが淘汰されたことよって価格が安定

取得競争による用地代の高騰

分譲マンションの価格上昇の1つの要因は原価の高騰にあります。

すでに解説した通り、消費者の需要は都心や駅近といった用地代の高い立地に偏っています。

また、一度買ったマンションを終の住処にするのではなく、結婚や出産などのライフステージの変化に伴って買い替えることを見込む消費者が増えるようになりました。

売却を前提としているのであれば利便性や資産性が高い方がよいです。

しかし、駅から近い土地は住宅以外の用途とも競争になります。

入札でオフィスビルやホテルなどの業者と戦うことは、取得競争にもまれ、用地代は吊り上っていきます。

大型再開発などが重なったことによる建築費の高騰

マンションのもう1つの原価である建築費の高騰が続いています。

東日本大震災の復興需要、東京五輪開催による大型再開発が重なり、大手ゼネコン4社(大林組、鹿島、大成建設、清水建設)の手持ち工事高は2019年末時点で7.3兆円にも上りました。

リーマンショック後のように、仕事に飢えたゼネコンが安値で工事を受注する市況ではありません。

足元では人手不足や働き方改革による工期延長などの要因が重なり、コストが下がる気配は感じることができなません。

新興デベロッパーが淘汰されたことよって価格が安定

分譲マンション事業では一般的に粗利は2割が目安と言われています。

そこからモデルルームの建設費や営業担当者の人件費などの経費を引いた残りがデベロッパーの利益になります。

用地代及び建築費の原価が高騰する中で、物件の販売価格は自ずと上昇していきます。

新型コロナウィルスの影響で値下がりを期待するのが消費者の心理ですが、実際には値下がりは限定的と考えるのが現実的です。

リーマンショックを経て、資金回収のためなら投げ売りも辞さない新興デベロッパーが淘汰されたことによって、現在は体力のある大手が業界を牽引しています。

1社が安値で供給すると、エリア一帯がその価格につられてしまいますが、現在は大手同士が利益率を重視して、過度に売り急ぐことはしなくなったことによって価格が高値で安定しています。

減り続けるマンションの青田売り

青田売り

読み方:あおたうり

意味:マンションの建設中から販売を開始し、竣工までに全住戸を売り切ること。

「青田売り」とは、マンションの建設中から販売を開始し、竣工までに全住戸を売り切ることです。

かつては青田売りが新築マンションのセオリーでしたが、それが現在、変わりつつあります。

大手デベロッパーが首都圏で分譲したマンションのうち竣工後も販売を継続していた物件の割合は、1998年は10%、2008年は37%で、2018年には52%まで増えています。

このように竣工後販売の割合を確実に増加しています。

青田売りが減る理由とは?

マンションの青田売りが減っている背景には、価格高騰で消費者が物件選びを慎重に行うようになったことが考えられます。

供給側も新興デベロッパーが淘汰されたことによって体力のある大手デベロッパーが中心となり、売り急ぐ必要がなくなったことも後押ししています。

マンション販売で、好不調の目安としてかつては「初月契約率」が注目されていましたが、これに対して大手デベロッパーは初月契約率の役目は終わったという声が上がるほどです。

初月契約率

読み方:しょげつけいやくりつ

意味:その月に供給されたマンションのうち何割が契約に至ったかを示す指標のこと。

一般的に70%が好不調の境目とされていますが、近年は70%を下回ることが常態化しています。

各社とも早期完売より利益率重視に舵を切っており、青田売りが減る要因になっています。

実際に2018年12月には初月契約率が49%と異例の低さを記録しました。

これは長期販売の代表格である住友不動産が大量にマンションを供給したためです。

また、デベロッパーにとって初月契約率を表示することで悪影響もあります。

デベロッパーは分譲マンションを「第1期」「第2期」と分けて販売することが多いです。

最近は「第1期1次」とさらに刻むことが増えています。

発売初月の契約率が低いと販売不調と判断されるため戸数を絞っています。

しかし、小出しになると、購入検討者にしてみれば欲しい住戸をすぐに買えなくなり、デベロッパーとしても販売が長期化しかねません。

分譲マンション市場を正確に捉えるためには、初月契約率に代わる新たな指標が必要です。

市況高騰でも狙い目な物件とは?

分譲マンションの価格上昇が続く中で、市況高騰でも狙い目の物件はあるのでしょうか?

実は好物件が思わぬ低価格で販売されていることが稀に存在します。

多くは売主であるデベロッパーの販売戦略によるものなので、見逃さないように注視する必要があります。

例えば、投資家向けのワンルームタイプのマンションを建設したいデベロッパーがいても、建設予定地の自治体がワンルームタイプを規制していることから、一部住戸を複数居室のファミリータイプにせざる得らなかったことがあります。

売主は投資用マンションの販売を得意とする会社だったため、実需の顧客への営業力が弱く、ファミリータイプの販売には苦戦した結果、損切りしてでも資金回収を優先したため、当初の価格よりも大幅に値下げして販売されるケースがあります。

大和ハウス工業も東京都江東区で販売しているプレミスト有明ガーデンズを当初、平均坪単価310万円で販売予定でしたが、発売直前に290万円へ下げたことがあります。

背景には、同時期に同じ湾岸エリアで発売されるHARUMI FLAGが割安価格で供給されることを受け、価格調整を行いました。

他にも、下記のような物件は狙い目とされています。

パンダ部屋 客寄せパンダのように広告用にあえて安値で販売される住戸のこと。
安さから人気が集中し抽選になることも多い。
間取りや眺望に難のある訳あり物件もある。
完成在庫 1戸でも完成在庫が残っていれば資料請求やモデルルーム訪問に応じなければならないため、価格交渉に応じる場合がある。
不人気で売れ残っている物件は購入後、売却の際に難を抱える可能性があることに注意。
新ブランド戦略 デベロッパーにとって新しいブランドや斬新な商品企画の第1号物件は広告塔の意味合いもあり、高級仕様でも低価格の場合がある。

パンダ部屋とは?

パンダ部屋とは、広告掲載用に、あえて割安で販売される住戸のことです。

例えば、東京建物のブリリアタワー有明ミッドクロスは、住居階の最下層に当たる4階の1LDKが3800万円台(坪単価280万円)で発売されました。

同じ階に坪単価300万円超の住戸があることを鑑みると、破格の物件価格であることがわかります。

このような物件は人気が殺到するので、必然的に高い抽選倍率になります。

完成在庫とは?

完成在庫とは、すでに販売されているマンションの中で、売れ残っている住戸のことです。

多くのデベロッパーが新築マンションを売り急がなくなったとはいえ、完成在庫の値引きは未だに存在することも事実です。

しかし、値引きの目的は資金回収ではなく、散発的な資料請求やモデルルームの案内に営業担当者を付けることは費用対効果が合わないという経営判断です。

デベロッパーの新ブランド戦略とは?

デベロッパーの新ブランド戦略とは、新しいコンセプトで売り出す新ブランドのマンションを設備や仕様のグレードが高くても割安で販売することです。

最初に販売に苦戦するとブランドイメージに傷がつくため、このような戦略が取られます。

特に地域のランドマークとなる大規模物件や大々的な発表会を催す物件などは、低価格で購入できる可能性があります。

まとめ

ここまでなぜマンションはこんなに高いのか、価格動向や価格上昇の要因、狙い目の物件に至るまでわかりやすく解説しました。

分譲マンションの価格上昇が続く要因には、消費者がマンションに対する思考の変化、用地代や建築費の高騰、デベロッパーの社数が限定的になったことなどが考えられます。

ここ数年、分譲マンションの価格は上昇の一途を辿っていますが、努力次第では狙い目の物件は存在します。

最も代表的な事例として、2008年に住友不動産が分譲したシティタワー品川が有名です。

都営団地の建て替え事業で、東京都が分譲価格を抑えることを条件としたため、72年間の定期借地権ではありますが、周辺相場より大幅に安い坪単価120万円という価格で分譲されました。

総戸数828戸の抽選倍率は平均で約18倍、最高で378倍という人気でした。

また、地主である東京都から割安で分譲するように働きかけがあったため、その後の値上がりも異次元の上昇率として話題になりました。

このように諦めなければ必ず好条件のマンションを見つけることができるので途中でギブアップせずに探し続けましょう!