東京オリンピック後の不動産価格はどうなるの?2020年問題と不動産市場のこれからについて解説

2020年の東京オリンピックの開催が間近に迫ってきました。

マイホーム購入を検討する人、不動産売却を検討する人、不動産投資を検討する人など、不動産に関わる全ての人にとって、オリンピック後の不動産価格がどうなるのか気になるのではないでしょうか?

不動産価格はオリンピック後も「下がらない」という専門家の指摘もありますが、不動産価格が暴落することを予想する「2020年問題」がニュースで特集されることも珍しくありません。

そこで今回は、現在の不動産市場の動向や懸念材料を踏まえた上で、東京オリンピック後の不動産価格について解説します。

このページでわかること

  • 東京オリンピックの経済効果について
  • 東京オリンピックが不動産価格に与える影響について
  • 不動産価格が上昇すると想定されているエリアについて
  • 2020年問題について
  • 2022年問題について

東京オリンピックの経済効果について

不動産価格はマクロ経済の影響を大きく受けます。

そのため東京オリンピックで日本はどのような経済的な影響を受けるのか理解しないと、オリンピック後の不動産価格を把握することは難しいです。

オリンピック開催のためにインフラや宿泊施設などが整備され、さらにはお金が動き、雇用が生まれ、経済が活性化するため、不動産だけではなく、多くの業界に経済効果がもたらされます。

東京オリンピックは、政府の試算によると、約32兆円の経済効果をもたらすと予測されていますが、実際に東京オリンピックが日本経済にどのような影響をもたらすのか解説したいと思います。

東京オリンピックが経済に与えるプラスの影響

インフラ整備による経済効果

オリンピック開催に向けて、国土交通省は2020年までに、空港から都心にアクセスする鉄道の整備、東京3環状道路(圏央道、東京外環状自動車道、中央環状)の整備、環状2号線の整備、公衆無線LANの整備、バリアフリー化のための整備など目指しています。

インフラ整備に伴う雇用の創出は、お金の流れの活発化を引き起こし、経済活動に大きな刺激を与えます。

一説によると、雇用による経済効果は、東京だけで12兆円以上、地方を含めると27兆円以上にもなると推計されています。

観光産業の活発化による経済効果

政府は、2020年に訪日観光客4,000万人を目標に掲げており、訪日外国人客による消費額は約8兆円になると見込んでいます。

2011年に621万人だった訪日観光客は着実に増え、2018年には3,119万人を達成しました。

7年間で約5倍の増加を記録しています。

また、外務省は、中国人観光客に発行する査証(ビザ)の申請を、2020年4月より香港以外の7つの中国にある在外公館でオンラインで受け付けることを決定しました。

あわせて、電子ビザの導入も予定しています。

訪日観光客数の過去最高を記録した2018年には、3,119万人のうち、中国からの訪日客数は約838万人と国・地域別でもっとも多かったです。

また、訪日外国人旅行消費額においても、総額4兆5,189億円のうち、中国からの旅客の消費額は国・地域別トップとなる1兆5,450億円と全体の約34%を占めていることからも、中国人観光客の日本経済への影響は非常に大きいと言えます。

外務省による措置は、ビザ申請手続きの簡素化により中国人観光客の増加を促進することになり、観光産業の活発化が期待されています。

今後、中国のほか、インド、ロシアなど重点5ヶ国からの訪日観光客のビザ発給要件を緩和していく予定になっています。

東京都は、2020年に増加が見込まれる訪日観光客によって、主に設備投資や観光産業の活性化され、東京都だけで約20兆円の経済効果が見込まれると試算しています。

訪日観光客4,000万人を受け入れるためには、宿泊施設が不足しており、宿泊施設の開発に伴う新たな雇用創出や訪日観光客によるインバウンド消費を考慮すると、経済効果はさらに大きくなります。

東京オリンピックが経済に与えるマイナスの影響

オリンピック後の維持費の問題について

オリンピックの開催は、日本経済に大きな経済効果をもたらします。

しかし、オリンピックが与える影響は、必ずしも良いことだけであるとは限りません。

例えば、オリンピック後の設備の維持費は、オリンピックを誘致する前から大きな議論になり、未だに解決されていない課題です。

道路や鉄道などの交通インフラは、開催後も高い利用率が期待されていますが、新設される競技施設などは、建設費用を回収できるか不透明な部分が大きく、維持費だけが増えて、マイナスに陥る可能性が高いとされています。

首都圏の一極集中化と地方の衰退

東京オリンピックは、首都圏では特需景気となる可能性が高いですが、地方ではほとんど恩恵を受けることがないという指摘があります。

むしろ地方にとっては、地方で消費行動が起きないためマイナスになる可能性があります。

東京で競技が行われば、地方の人は東京に出向いて、観戦したり、観光したり、食べたり、買ったりなどの消費行動が起きますが、地方では東京で消費するために地元で節約するため、消費が減ってしまいます。

また、雇用の観点からも、首都圏で雇用が増えるため、地方から首都圏に働きに出る人が増える一方で、地方の人口はさらに減る可能性もあるとされています。

オリンピック開催に伴う特需景気の反動

1964年に開催された前回の東京オリンピックでは、翌年に「証券不況(昭和40年不況、構造不況)」と呼ばれる不景気に陥りました。

高度経済成長期の只中、東京オリンピックや新幹線の整備などによる需要の増加で、日本経済は高い経済成長を達成しました。

また、経済成長は同時に証券市場の成長も促し、投資信託の残高は1961年に4年前の約10倍となる1兆円を突破しましたが、1964年に東京オリンピックが終了し、金融引き締めも重なると、企業業績の悪化が顕在化しました。

1963年は、倒産件数が1,738件でしたが、1964年には4,212件に倍増して、1965年には6,141件にまで拡大しました。

大企業であっても、不景気の流れには対抗できずに、1964年にサンウェーブと日本特殊鋼(現大同特殊鋼)が、1965年には山陽特殊製鋼が500億円という戦後最大級の負債を抱えて倒産しました。

このようなオリンピック開催に伴う特需景気の反動が2020年の東京オリンピック開催後に待ち構えていないとは限りません。

東京オリンピックと不動産価格

それでは、東京オリンピックが日本経済にどのような影響を与えるのか踏まえた上で、オリンピック後の不動産市況について解説します。

東京オリンピックによる不動産価格の上昇要因

インフラ整備や再開発が不動産価格を押し上げる

オリンピックの開催に伴い、インフラ整備や再開発が行われています。

再開発により街が整備され、商業施設やオフィスなどが充実した場合、その後の不動産価格は上がる可能性があります。

また、過去のオリンピックを振り返ると、開催国の多くは、宿泊施設や商業施設の充実もあり、その後も観光客数を順調に伸ばしています。

消費増税による不動産価格の上昇

オリンピック開催を目前として、2019年10月から消費税が8%から10%に引き上げられます。

「土地の売買」や「住宅用の家賃」などは非課税ですが、不動産を購入する際には、消費税が発生します。

不動産の引き渡し時の税率が適用されるため、2019年10月以降の引き渡しの場合は、10%が適用されます。

これに伴い、2%分の不動産価格の上昇が見込まれます。

ちなみにですが、中古住宅を個人(事業者を除く)から個人が購入する場合は、非課税となります。

統合型リゾート(IR)の建設

2016年に統合型リゾート(IR)整備推進法が成立して、マカオやシンガポールなど、統合型リゾートを設置した外国都市が国際的な観光拠点として多数の観光客を進める中で、日本においても訪日観光客を呼び込むプロジェクトとして大きな注目を集めています。

統合型リゾートは、カジノだけが注目されがちですが、国際会議場、展示施設などのMICE施設、宿泊施設、商業施設、レストラン、劇場・映画館、アミューズメントパーク、スポーツ施設、温浴施設などと一体になった複合観光集客施設のことです。

統合型リゾートの開発及び運営は、数多くの雇用を生み出します。

また、訪日観光客を中心としたインバウンドには、大きな経済効果があり、不動産価値を上昇させる要因になります。

東京オリンピックが不動産価格に与えるマイナス要因

特需景気の反動によって不動産価格が下落

オリンピック開催によって不動産価格が下落すると考える専門家もいます。

2020年を境にして、東京の人口が減少して、それによりマンション需要が下がり、不動産価格が下落するのではないかと懸念されています。

また、オリンピック開催に伴う特需景気の反動も不動産価格にとってマイナス要因になるとされています。

開催までは、インフラ整備や公共施設、商業施設などの需要が高いので建設ラッシュになりますが、オリンピック後はそれら施設の維持費の問題が浮き彫りになる可能性があります。

すでに紹介した通り、1964年の前回の東京オリンピック後に特需景気の反動によって不景気に陥ったように、今回も反動で経済が低迷して、不動産価格を下げることが大いに予想されます。

富裕層による不動産売却

中国人富裕層の中心に海外投資家が、東京オリンピックによる不動産価格上昇の見込んで、数年前より東京の高級マンションを爆買いしていましたが、2020年をピークに、キャピタルゲインを目指して一斉に売りに出される可能性があります。

不動産を5年以上保有して譲渡(売却)した場合、長期譲渡所得として見なされて、譲渡所得税が39.63%から20.315%に軽減されます。

そのため、2014〜2015年に購入した不動産は、2020年に売りに出される可能性が高いです。

キャピタルゲインを狙う海外投資家による不動産物件の売却が増えることは、不動産価格を下げる大きな要因になります。

生産緑地の2022年問題

2022年問題とは、生産緑地法で、都市にある一部の農地を「生産緑地」として指定して、農地は固定資産税が優遇される代わりに、30年間の営農義務が課せられていますが、その義務(優遇)が2022年に外れて宅地並みの課税になるため、多くの農家が農地を大量に手放すのではないかという問題です。

生産緑地は、都市における良好な生活環境の保全や都市災害の防止、あるいは将来の公共施設整備に対する土地の確保を目的として、市街化地域内の農地を対象に指定され、1992年から 30年以上営農継続の意志のある農家にのみ固定資産税の免税措置が図られていました。

しかし、1992年から30年が経過する2022年以降、農家の高齢化や後継者不足による離農もあり、都市の大量の土地が生産緑地指定を解除されて、宅地として不動産市場に流れることで地価が下落するのではないかと推測されています。

不動産価格が上昇すると想定されているエリアとは?

国税庁が発表した2019年分の路線価は、全国で前年比1.3%増で4年連続で上昇しました。

バブル崩壊や2008年のリーマン・ショックの影響で、路線価の全国的な下落が止まりませんでしたが、訪日観光客の増加や2020年の東京オリンピック開催に向けたインフラ整備や再開発の恩恵を受けることによって、大都市では路線価の上昇が続いています。

しかし、地方では依然として低迷が続く厳しい状況であることも確かです。

路線価は、全国の主要道路に面した1平方メートルあたりの土地の評価額であり、相続税や贈与税の算定基準となります。

路線価はあくまでも土地の評価額であるため、不動産価格を知ることはできませんが、取引価格の目安になります。

東京では、再開発や新しい商業施設や宿泊施設の建設が進み、東京都中央区銀座5丁目の銀座中央通りの路線価は4,560万円で、34年連続で全国トップでした。

大阪や名古屋でもオフィスビルや宿泊施設の開業が相次ぎ、路線価はバブル期の2割前後から6割前後まで回復しています。

残念ながら、地方は低迷しており、秋田市のJR秋田駅前の路線価が27年ぶりに上昇しましたが、都道府県庁所在地別では全国ワースト2位です。

青森、山口なども横ばい状態が続いており、都心や観光地との差が拡大しています。

城東・城北エリア(東京)

東京都内48税務署の最高路線価を見ると、46地点が上昇し、青梅、日野管内の2地点が横ばいでした。

23区に絞ると全40地点で前年比で増加しており、上昇率10%以上の地点は前年の10地点から22地点に倍増しました。

特に複数の大学の誘致に成功して、学生の街として新たな顔を持つ北千住駅周辺は、前年比20.1%増で大幅に上昇しました。

北千住駅は、日比谷線、千代田線、JR常磐線、東武伊勢崎線、つくばエクスプレスが乗り入れ、東京駅まで約20分の高い利便性が魅力です。

旧千寿小学校の跡地に建設された東京芸術大学をはじめ、東京電機大学や帝京科学大学などの文教施設誘致にも成功して、街のイメージアップに成功したことも大幅上昇の要因です。

今後も駅周辺では、マンション建設が続きます。

その他にも、城東・城北エリアで、亀戸駅周辺が18.5%増、錦糸町駅周辺が17.9%増、北区赤羽駅東口が13.4%増と高い上昇率を見せています。

これに伴い、不動産価格も今後、さらに上昇することが見込まれています。

船橋駅・本八幡駅周辺(千葉)

千葉県では、船橋駅周辺が19.7%増、本八幡駅周辺が19.6%増となっています。

都心へのアクセスがよく、人口増加が続いているエリアでもあります。

東京都内の多くは、訪日観光客が増えたことが影響して、都心を中心に路線価の上昇が続いていましたが、今年は上昇率が鈍化しました。

今後は、船橋駅や本八幡駅のように、都心へのアクセスがよい近郊都市の路線価が大幅に上昇することが予想されています。

金山エリア(名古屋)

名古屋では、大津通り沿いの名古屋三越栄本店前で、前年比23.5%増と大きく上昇しました。

栄エリアは、商業施設を中心に、再開発が多く計画されています。

また、金山駅周辺は、23.1%増で、3年連続で20%を超える上昇です。

金山駅はJRや私鉄、地下鉄が乗り入れているターミナル駅で、利便性の高さから駅周辺でマンション建設が盛んに行われています。

ちなみですが、2027年のリニア中央新幹線開通に向けた再開発が後押しとなり、名古屋駅周辺の路線価もここ数年で、大きく上昇しましたが、伸び率は前年の13%から今年は10%になり、成長の限界が見受けられます。

今後は、金山エリアに見られるように、職住近接であるエリアの地価が上昇していくことが予想されます。

夢洲・咲洲エリア(大阪)

大阪の上昇率トップは新大阪駅前のニッセイ新大阪ビル周辺で、前年比38.9%増でした。

2位は江坂駅周辺で36.4%増、3位は千里中央駅周辺で29%増です。

新大阪駅は、2019年3月に「おおさか東線」が全線開通し、奈良方面と結ぶ直通列車が運行開始しました。

2031年には「なにわ筋線」開通で関西国際空港までのアクセスが改善され、さらには2037年にはリニア中央新幹線が名古屋から新大阪まで延伸、2046年には北陸新幹線が新大阪まで延伸する計画があり、新大阪駅周辺は引き続き安定した上昇が期待されています。

江坂駅周辺は、単身者やファミリーに人気のあるエリアです。

近では住宅地としてだけではなく、利便性の高さから新大阪と同じようにオフィス施設の需要が高まっています。

大阪中心部では、オフィス施設の供給が需要に追いておらず、割安で利便性の高い江坂駅など、御堂筋沿線に注目が集まっています。

今後、期待されるのは2025年の大阪万博の会場予定地担っている夢洲や咲洲などのベイエリアです。

咲洲のコスモスクエア駅周辺は、前年比で4.3%増で、3年ぶりに上昇しました。

今後は、統合型リゾートの誘致の成功次第では、ベイエリアの人気はさらに高まると予想されています。

【まとめ】2020年問題が不動産価格に与える影響は軽微

オリンピック後、不動産価格が暴落することを予想する2020年問題など、オリンピックのネガティブな側面が大きく強調されがちですが、オリンピック開催は、不動産市場にとっては、むしろポジティブな側面の方が大きのではないかと考えています。

オリンピックを開催することによって、インフラ整備や再開発がスピーディーに進めば、訪日観光客にとって滞在しやすくなり、政府が目指す観光立国としての基盤を整えることになります。

また、オリンピック後に、統合型リゾートの開発や2025年に大阪万博が予定されているなど、世界規模のプロジェクトやイベントが控えていることもポジティブな要因です。

過去数回のオリンピック開催国の不動産価格の動向を見ても、一時的な下落は確認できますが、大きな打撃を受けている国はほとんどありません。

最初に述べた通り、不動産価格はマクロ経済と連動しますが、2012年のロンドンオリンピックを開催したイギリスは、オリンピックが不動産市場に与えた影響はなかったと、公式に発表しています。

つまり、オリンピックによる経済効果は確かに大きいですが、開催国の経済規模がもともと大きければ、特需景気が終わったとしても深刻な不景気に陥ることは考えにくいです。

日本においても、キャピタルゲインを狙った売却によって、一時的に不動産価格が下落する可能性は考えられますが、不動産価格が全般的に急落するというシナリオは、あまり現実的ではありません。

不動産価格が下落中!?売却を検討している方はお早めに!


不動産価格は景気の動きに大きく左右されます。

公示地価のグラフを見ると、景気の先行指標といわれる株価の動きと同じような形を描きながら少し遅れる形で推移していることからも明らかです。

問題は景気後退の時期です。

消費増税への反動減対策が切れる時期と、オリンピックの終わりがちょうど重なる2020年夏を境に景気が悪化し始めるという見方が大勢です。

実は、不動産の価格下落はすでにスタートしています。

「かぼちゃの馬車問題」に代表されるように、資金力の乏しいサラリーマンに無理やりフルローンを付けて買わせていた投資用不動産が下落に転じました。

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